聖地巡礼とは、愛なのだ

10年代も終わりに近づいていますが、この10年をオタク的に言い表すと「深夜アニメが市民権を得た」10年ということもできるでしょう。

ネットの利用拡大とも相まって、オタク用語もだいぶポピュラーになりました。
その言葉のひとつが「聖地巡礼」ですね。
実際にしたことはなくても、聞いたことがあるひとは多いのでは?

聖地巡礼ってなんでしょう?
よく考えると、不思議な感じのする言葉・行動ですね。
ちょっとだけ、紐解いていきたいと思います!

聖地巡礼とは

聖地巡礼ってなんでしょうか。
ま、端的にいうと「アニメなどの作品の舞台になった土地に行き、その作品を追体験すること」ですね。

大元の意味は、皆さんご存知かと思いますが改めて調べると、「聖地や霊場を参拝してまわること」(広辞苑より)です。
ちょっと重めな言葉で、少し厳粛な空気が漂います。

そう、この聖地巡礼という言葉、すごくオタクのニュアンスがこもっていると思います。
なぜオタクは「ロケ地巡り」と言わなかったのか。
それは、元の作品をリスペクトして、いわば「行かせてもらう」みたいな気持ちがあるから、なのです。

「好きすぎて死にそう!」みたいな表現がありますが、まさにそんな気持ちで、舞台に行くのです。
単純に、その場所に行ってみる、のでは、少し足りないのかなぁ、と思ったり。

そして、聖地巡礼するにあたっては、その場所の作品が大好きである、というのが前提になります。

 

聖地巡礼のはじまり

さて、聖地巡礼という行動というか”概念””文化”は、いつからあるのでしょうか。
今でこそポピュラーですが……。

僕が聞いたことがあるのは「おねがいツインズ」という作品が発祥だとか。
長野県の木崎湖、という湖が出てくるのですが、最寄り駅に「記帳用のノート」が置かれたり「ファンがボランティアで掃除をしていったり」ということがあったようです。
おねツイはゼロ年代の初頭の頃の作品ですから、もう15年近く前ですね。

もちろん、おねツイ以前にも、そういう文化はあったんだと思いますが、広く知られるところではなかったのでしょう。

 

聖地巡礼の地元への効果とデメリット

聖地巡礼は、よく地域振興とセットで語られることが多いです。
何でもないド田舎にオタクがたくさんやってきて、お金を落としていく……。
地元住民ははじめ戸惑うが、徐々に受け入れ体制ができてきて、その町が有名になっていく。
みたいなストーリーでしょうか。

「オタクツーリズム」という「クールジャパン」みたいな言葉も生み出されました。
(オタク的にはあまりピンとこない言葉デス)

一番、世の中で成功したのは「らき☆すた」の埼玉県の鷲宮神社、でしょうか。
来場者年間1万人、経済効果は1億円とも言われます。

じゃぁ、みんな思うでしょう。
地域振興そのものを目的にして、アニメを作ればいいじゃないか、と。

しかし、そうは問屋がおろさない。
過去に、地域振興目的で作品が作られたこともありますが、当たった試しはありません。
「好きだから」の行動なので、まずは作品がヒットして(もしくはコアなファンがついて)好かれないといけないのです。
オタクって難しいw
でも、ある意味純粋ですね。

また、地域振興にうまく持っていける場合もあれば、地元が戸惑ったり、受け入れ体制が整わないまま、ブームが去っていく例も見受けられます。

永遠にファンの熱量が変わらない作品は、存在しないので、ある種のバブル、もしくはビッグウェーブが来た、という風に捉えたほうがいいのかもしれません。

あと、これはファンといえるか分かりませんが、マナーの悪い輩が、地元に迷惑をかけてひんしゅくを買う、ということも少なからずある話です。

 

たとえば、けいおん! の場合

滋賀県の豊郷町、というところにある「旧豊郷小学校」が、けいおん!に出てくる高校の舞台になりました。
けいおんという作品は、社会現象になるというか、ここからオタクに入ってきたひともたくさんいるくらい、ヒットしたものです。

写真を撮ったのは、2011年です。
同人即売会が開かれたり、町のあちらこちらに、けいおんが見え隠れしていたり。
地元の方には失礼かもしれませんが、学校の周りは、本当に何かがあるわけではないのです。
けど、聖地があるから、来るきっかけになるんですよね。

 

↑最寄りの近江鉄道の駅にて

 

↑最近は有名になった「飛び出し坊や」のけいおん版

 

↑学校前景

 

↑とてもきれいで印象的な階段

 

↑音楽室にはティーセットが

 

↑ちょうど東日本大震災のあとだった。自由に書き込める黒板

 

たとえば、涼宮ハルヒの憂鬱 の場合

兵庫県の西宮市、といっても大阪から近い場所ですが、そこの西宮北口駅周辺~甲陽園駅界隈が舞台になりました。
作品自体は、全世界的に原作小説が出版されるほどの人気ぶりでしたし、現在の深夜アニメの地位を確立した、エポックなものでした。

ただし、都市部であるということと、閑静な、関西地方でも比較的高級な住宅街だったこともあって、地元が何か積極的にやろうとしたわけではなく(むしろあまり歓迎されなかった、ということも聞く)、聖地巡礼としては、そこまで盛り上がらなかったように思います。
実際、モデルになった学校に不法侵入したりする輩がいて、悪いニュースが流れたこともありました。

作品はヒットしたけど、巡礼という意味では成功していない例かもしれません。
写真は、2010年撮影です。

 

↑阪急甲陽園駅。余談だが、関西にある〇〇園という地名は、昔に開発されたニュータウンを意味する

 

↑作中でキャラがどぼんした池。よい子は真似しないほうが良い。

 

↑作中での通学路

 

聖地巡礼とは、愛なのだ

聖地巡礼について、ここまで簡単に見てきました。
今や、現実の土地が舞台になっていない作品を探すほうが難しい時代になりました。
オンエアされるとすぐに、聖地巡礼レポートがアップされる感じです。

最近では社会的ヒットになった「君の名は。」の聖地巡礼で飛騨高山に行く人がいて、話題になっていました。

どんどん、聖地巡礼することが、当たり前になっていくのかもしれません。
アニメなどをきっかけに、知らない土地に行き、新しい見聞を得る。
とっても良い人生な気がします。

でも、やっぱり、聖地への「聖なるリスペクト」は忘れずにいたいですね。
また、外から見ているひとには「ただの旅行ではないぞ」というのを主張しておきたいところです。
その作品、キャラへの愛があるから、生まれる行動であり、文化なのです。

聖地巡礼とは、愛なんです。